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不動産コンサルタント |
倉 橋 レ ポ ー ト |
2010年5月号 |
たいへんな危険が潜んでいる、日本経済の先行きとは!
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実際、皆さんも気付かれているかもしれないがジワジワとガソリン価格は上昇している。先月のレポートでお伝えしたとおり、素材関係の価格は上昇の一途を辿り、おまけに天候不順による農産物、魚介類も高騰の兆しが伺える。日本経済が政権交代によって混乱が進んでいるなか、いよいよ国際経済社会は、日本を取り残してアジア圏の淘汰を進めようとしているのである。
日本の一人当たりのGDP(国内総生産)は、世界第2位であったはずが、2007年には19位まで落ち込み、GDP全体では、一応、世界第2位ではあるが、そのうち中国に抜かれることは必死の状況にある。また、ゴールドマンサックスの試算では2050年における世界のGDPは、中国が70兆ドルを超え、断トツにトップ。2位がアメリカで38.5兆ドル、3位がインドで37.7兆ドル、日本は8位で6.7兆ドルとの試算であるから、恐ろしい格差である。
これを見れば既にアメリカは日本に興味はなく、中国に目を向ける筈であるし、日米安保条約などを日本が協力しないのなら、アメリカからすれば別に勝手にすれば良いわけで、安全保障などする必要もなくなるし、コストも下がるし、中国に、より協力的な立場が保てることになるから、日本政府が現状の混乱政治を維持してくれていれば、アメリカは、中国とより密接な関係が保てて安泰なのである。従って、オバマ大統領が鳩山総理と中国政府のいる前で会談などする筈がない。
現在、世界中で金融恐慌のような状況に陥り、アメリカですら将来が読めないなか、日本政府が、かような、お粗末な外交態度で平和主義を語っていると、益々、日本は近隣諸国から海洋活動範囲を侵略されることになる。既に、中国海軍が活動範囲を東方へ拡大しているというニュースが日経新聞に発表されているが、日本がこれを非難したところで、誰も言うことを聞いてくれない。もちろんアメリカも助けてはくれない。非武装中立、非核三原則などという理論は、誰かが保護してくれなければ成り立たない理論であって保護されることを拒んで戦ったところで、勝てる理論ではない。気がつけば、日本の海域はどんどん狭められ、従来、自国で採れた魚は輸入に頼ることになるし、遠洋漁業もありえなくなるし、また、日本国内での減反政策によって、農業は縮小し続けて来たわけだから、農産物も輸入に頼らざるを得ない。さらに過去の教育問題で言えば、ゆとり教育などの実施により、日本人の持つ知的水準は下がっているし、そもそも競争の原理は剥奪されているから将来に向って知的財産権も低下する可能性はある。
最近、登校拒否とか出社拒否とかが増え続けており、勤勉な日本人の特性は、失われつつあり、さらに競争原理も、倫理や道徳観も失われつつある。約20年前の不動産、証券バブルの崩壊では、企業の生産性の向上意欲や社員の労働意欲、倫理観などが失われ、昨今のITバブルでは、IT長者の虚偽が若者の労働思考を変え、労せずして稼ぐのが美徳という、そもそもの研究、開発心や労働意欲を失わせてしまった。先の不動産、証券バブルの崩壊には、甘い先行き予測が深い傷に至った原因であり、ITバブルの崩壊は、主要人物の逮捕で早期に日本国民が酔いからさめて、さほど深い傷は負わなかった。しかし、今回の世界的な金融恐慌と覇権活動は、マスコミの中心部によって隠匿されているような気がしてならない。日々、日本政府の行う茶番劇を中心に報道し、日本人が気付かされないようにコントロールされているように思える。現に沖縄の普天間基地移設問題が未解決化されたことで、中国政府は、日本の海域で軍事演習を始めている。韓国も竹島問題を、さらに、自国領土である主張を改めてするだろう。北方領土の問題も、しかりである。もちろん日本国政府はこれらに非難する立場を表明するだろうが、かつてアメリカのパトロンだった日本の立場は、既に中国に奪われており、アメリカは中国と日本を秤にかければ、当然、中国の意向を重視せざるをえない立場である。日本の非難のために自分の立場を捨てる筈はないから、日本政府の非難は、無意味な非難のまま放置させるに決まっている。
「なんで、2番じゃ駄目なんでしょうか」とは、蓮舫議員の事業仕分けの際の一言。丁度、深夜に帰宅してテレビのニュースを見ながら食事をしていたときだったが、失笑のあまり、食事中の箸を落とすほど呆れてしまった。確かに、スーパーコンピューターの開発自体が、いまさら、さほど重要視されないかもしれないが、それらの開発で、他の分野の開発に併用できる技術が開発される可能性は否定できないはずであるし、1番を目指さなくて、2番とか3番にはなれないという、普通の勤労現場というか、仕事の現場が分かっていない発言である。なるほど、党首の鳩山総理も、同様な思考回路なのだろう。
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正直、我が国の日本には、驚愕的な事態が起こりつつあるのに、大局的な思考回路を持たない平和主義、小市民的な政治手腕では乗り切れない。これは政党の非難ではなく、現在の政治家全般の問題である。しばらくは、さらに混乱するだろう。しかしながら、日本人であるから、もう駄目だと思ったところでしかたがない。まやかしの政治も、経済も、事実として受け止めなければならないし、これらの責任を追及したり、嘆いたりしても何もならないし、結果的に空虚なだけである。第一、そもそも、誰も責任を取ってくれないことは、過去を見れば分かる通りである。
5月13日に、朝日新書「お金に困らない人生設計」という、新たな著書が発売される。本書は、かような衰退し続ける日本経済の中で自分を正しく見詰め直し、誰にも頼ることなく、自立した豊かな将来設計を確立する為の著作である。人生において、失敗も、成功も、すべて原因があって結果があり、専門家として経験している実務の中で探求した、結果から見た原因を著したものである。20代、30代40代、50代、60代で具体的に何をしておくべきか、というようなことを書かせて頂いている。今後、さらに混沌とする日本経済のなかで生き抜く為には、自らの資産防衛と精神構造が必要である。結局、納税者の生活は後回しになる政府に責任を求めても、何もならない、ということである。
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