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不動産コンサルタント 倉 橋 レ ポ ー ト 2009年8月号
         
 
世界的規模で金融の信用創造は低下している

世界中で、金融機関が危ない状態に陥っている。
米国のノンバンク大手のCITグループは、かねてから経営危機に陥っており、リーマンブラザーズ同様、米国政府に支援を拒まれ、連邦破産法11章(日本の民事再生法に相当)の適用申請に追い込まれる可能性があったが、一応、主要債権者から30億ドル(約2800億円)の緊急融資を受けることで合意して、何とか当面の危機は凌いだ。

このCITは、米国では中小企業向け融資の大手であり、低所得者向けの住宅融資「サブプライムローン」の事業拡大や、その他のリスクの高い商品で業績は急激に悪化しており、その負債額は7兆円規模だそうである。すでに、昨年、政府から23億3000万ドルの公的資金を受けているが相変わらず資金難が続いている。このノンバンクは、中小零細95万社に融資を実行している訳で、この会社が倒産してしまえば普通に金融機関から融資を受けられない企業95万社も危ない状態に陥ることになるのである。

あのリーマンブラザーズ破綻以降、様々な経済の危機的事態が明るみに出てきており、日米欧が躍起になって真なる情報をもみ消そうとして株価などを上げたところで、根本的な解決策など見当たる筈もない。実体経済では、まだまだ多くの金融機関が破綻する可能性が高いと見てよいように思う。とてつもない日米欧のハイパワードマネーの供給が増加しても、実体経済のマネーサプライが回復しない理由は、これらの金融機関の損失にある訳でこの全世界で6000兆円を越えるとも言われている世界的規模の経済損失を埋めるには、尋常な方法では対処できない状況にある。

さらに日本国内では、ご承知の通りの政治混乱である。
私自身は無党派であるから、あまり偏見などないのであるが、全体から見て、あまりにも頼りがいのない政府ではないか。正直言って、過去の政府と官僚は、自国の国民を騙し続けてきたといっても過言ではなく、今まで政府が行ってきた事業による損失は、一体、誰が責任を取るというのだろうか。また、国鉄や郵政の民有化によって奪われた国民の財産はどのように補填するのだろうか。私自身は、一度、この国全部を「リセット」する必要があるのではないかと考えている。もちろん、そんなことは出来ないということは分かってはいるのだが、すべての仕組みを考え直す時期に来ているように思う。

例えば、清算すると言う行為。国や地方自治体のもつ不動産は、必要なもの以外、全部売却してしまって、民間に委ねる方法がある。国有地などの管理を行う「財務局」というのが各地方にあるわけだが、この国有地を払い下げるには、いろいろな諸手続きが必要であり払い下げる側の負担は大きい。かといって、その土地を管理している財務局のコストを賄うほどの利益のあるような土地ではないものが多い。こんな土地は、例えば隣地同士で協議が整えば相手方の負担で売ってしまえばよく、いちいち民間の所有する土地に介在する為に莫大なコストをかけて維持管理する必要もないのだ。併せて遊休土地などは、民間企業のコンペをかけ、有効に活用できるものは活用して収益を上げることを考える。またもともと国民の財産であった現在の「JR」や「郵便局」の所有している不動産には、賃料を支払ってもらって税収を上げる。そもそも政府や官僚が収益を追求しない姿勢であるから、逆に損をしても大丈夫な体質になってしまっており、予算と称して無駄使いばかりしていたことで国家予算が赤字に転落している。収入がないのに支出ばかりが増える国家体質。今年は、民間企業も金融機関も、こぞって赤字や収益悪化になっている訳だから、国も地方自治体も、税収は悪化するに決まっており、通常の予算内で処理など出来る筈がない。現状、世界的に危険極まりのない経済に陥っている中で、非現実的なマニフェストを掲げて選挙などやったところで脆弱な政治が繰り広げられ、更に悪化するばかりである。

例えば「エコ減税」などもそうであるが、家計の前倒し支出を増やした所で、このカンフルが与えるその後の消費については、またもや更に冷え込むことになるに決まっており、ただでさえ厳しい自動車業界、家電業界に良い影響を与える筈もない。現実的には、恒久的な収益体質を盛り込み、逆にリストラ的な支出を減らす構造改革が必要な時期であり、日本経済は抜本的見直しが必要な時期に突入している訳だから、すべてをやり直す必要があると考えているのである。

先月末に、ちょっとした事情があり「香港」へ行ってきた。多忙につき、夕方出発で、夜中に着。中一日で翌日朝、香港出発で成田に昼に着く便。2泊1日と言うハードスケジュールなノースウエスト航空の便を利用したのであるが、夏休みだというのに成田空港はガラガラで他の航空会社は空席が目立っていたが、何と、この便は満席である。事情をJTBに聞いた所、航空運賃はANAの4分の1だそうだ。また、香港では、以前は欧米人が多く見受けられたが、今回はほとんど見なかった。併せて日本人もあまり見受けられなかった。かつてはファンドと称する連中が闊歩していたセントラル街も、欧米人向けのレストランは殆ど人が入っていないし、高級中華料理店も安っぽいランチなどを行っている。また、あれほど日本人が押し寄せていたブランドショップも、殆ど全店が閑古鳥である。世界中で消費が抑制され、ディスカウントのみが受け入れられるという不健全な経済活動は、さらにすべてにおいて収益構造を悪化させることになる。ヨーロッパでは、すでに失業率が15%を超えている所もあり、世界的な恐慌の波が密かに押し寄せている状況である。

今回の金融恐慌とも言える事態は、レバレッジと称する借金を繰り返して、多額な債務を抱えたまま多額な金銭を使いまくってしまった結果である。問題なのは、これらの金銭で楽しんだ人たちが損をするという構図なら納得できるかもしれないが、結局、そのつけは回りまわって国民全部のつけになる構図にある。
すべての国民において、明らかに自己防衛の時代に突入しているのである。


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