あの「バブル経済」は大手銀行と生命保険会社を詐欺集団と化した!Part2
「あれっ!アパートの借入金は1億700万円の予定なのに1億1700万円に変更されていますよ?」
貯金通帳を見ながら、私自身、ひどく「後悔」した。
とにかく「三菱銀行」の支店長との間で、あの一件があってから打合わせは「オーナー」が「三菱銀行の担当者」と、直接、やりとりをしていた。
「支店長」は、一切、私に対して謝りにはこなかったが、担当者は、業務の遂行上、支店長の暴言を私に詫び「融資の打合わせ」を
一度だけ電話で話したことがあった。
その際、こちらの指示は、
- 融資の金額は「1億700万円」で最初に「抵当権」は付けてもよいが、中間金は「手形」でつなぎ、最終代金支払いのときに清算すること
- 融資額は1億円を超えるから、できれば「保証会社を付けない融資」で進めてもらいたいこと(保証料がかからない)
- 2月末の完成予定であるから、4月の初旬から返済を開始すること
などを打合わせし、「オーナー」にも書面に書いて、その通りにしてもらえば「経済的」に「無駄が省ける」ことを説明しておいた。
ところが「三菱銀行」は我々の期待に反し、
- 融資金額は、一年間据置き金利などを含めて必要でない1000万円を 上乗せし、
- 保証料は1億1700万円に対し、約230万円を口座から引き落とし、
- まったく必要もないのに「1年間返済をせず」、余分な「金利」を上乗せする方法で融資を実行したのである。
そして「オーナー」が「承諾」も「納得」もしていないのに勝手にその「預金口座」に残った「お金」を「明治生命」の「変額保険」の返済に充てていた、のである。
瞬間的に私の頭のなかで、これは「事件」である、と感じた。
とにかく「きつねに抓まれている」ようで、詳細については何も解らない。
はじめは、当社の「賃料の入金」がされていないのではないか、という疑念からの「相談」であったが、気がついてみれば、
もっと「大きな事件」である筈なのに、何と「当事者」が、一切、内容を把握できていないのである。
ただ解っていることは、以前、「土地を担保」に入れて「保険」に入れば、「相続対策」になるからと「明治生命」に勧誘され「保険」に加入し、
その時に「明治生命」がつれてきた「三菱銀行」が、そのアパートを建築した土地に「担保(抵当権)」を設定した、ということだけである。
とりあえず何も解らないまま、その「オーナー」から手元にある書類全部を預かって、事務所に帰ってきた。
仕事柄、不動産に絡むことはだいたい「理解」しているが、土地に「抵当権」を付けて「保険」に入れば「相続対策」になる、
というのは初めて聞いたし、それが事実であれば「画期的」な「対策」である、などとも考えた。
預かってきた「保険証券」を見て解ることは、
- 「社員配当金」は6ヶ月目の末に「利息」を付けて「充当」されること
- 契約時、保険料の「約1億5739万円」を一括して支払っていること
- 「運用実績」が4.5%の場合、「解約返戻金」は「4年目の時点」であるから「約1億6852万円」であること
等であり、保険に加入した当時の「パンフレット」類や「募集取締法」で定められている「加入のしおり(保険内容が詳細に記載されているもの)」はない。
「解約返戻金」をみて、最悪、「解約」すれば「保険金額」は戻るだろうし、多少の「配当金」は積み立てられているだろうから支払った
「金利の一部」と「経費」の「損」になるのかな、程度の認識であった。
それにしても「借入金」からみて、ざっくり「4000万円」程度の「損」が出るから大変なことだ。
そこへ、当社に出入りしている他の保険会社の「女性外交員」がきたので、その「パンフレット」を見せ、聞いた。
「うちのお客さんでこんな保険に入っているんだけど、知ってる?」
軽い口調で話した。
「なんでこの保険、相続対策になるのかなぁ?」
「これ、変額保険ですよねぇ?」
パンフレットを見るなり怪訝そうにいった。
「私、解りません。扱っていませんから....。」
なぜか自分が責められているかのように、彼女はいった。 まったく歯切れの悪い返答に、私自身、
不安を感じ「ファイナンシャル.プランナー」の仲間で「保険」に詳しいのがいたので、早速、保険証券を「ファックス」で送って、みてもらった。
「倉橋さん、これはたいへんなことになりますよ。」
本当に気の毒そうに、彼は言った。
「急いで解約返戻金の試算をさせたほうがいいですよ。」
また現状の生命保険会社の運用実績の悪さを指摘するとともに、この保険に関してトラブルが生じつつあることを教えてくれ
「たぶん私の試算では、いま解約すると、1億円程度しか戻らないと思います。」
と、言った。
「保険証券に返戻金表が明示してあって、いま解約すると1億6850万円になっていても?」
頭の中では彼の言うことを信じがたく、
できれば彼のいうことに間違いがあることを期待して聞き返した。
「残念ですが、間違いないと思います。」
と、また、彼ははっきりと言った。
その後、間違いがあるといけないので、かつて「生命保険会社」で資産運用をしていて、いまは資産税専門の税理士をしている友人に再度確認したところ、
「お気の毒だけど、そのひとの言うことに間違いはないと思うよ。」
その後、心配そうに、
「まさか倉橋さん、勧めたんじゃないないだろうね。」
悪いジョークだ。
「まさか、そんなポリシーのないことはしないよ。」
私は不動産が専門分野であるから、この「変額保険」の仕組みは知らなかったが、
生命保険の専門家が口をそろえて危険性を問うようなものに、なぜ、この「オーナー」が入ってしまったのか不思議であるし、また、興味があった。
「本人は相続対策になるからって言われて、この保険に入ったようだけど?」
「当時は保険屋と銀行がグルになって、さんざんやったみたいよ。」
口の悪いのはお互い様だが、たしか彼も昔は保険屋だった筈である。
「あんなの、売るやつが悪いよ。だいたい、相続対策なんて知らないやつらが保険の売上だけ欲しさにやってんだもん、無知からくる、犯罪だね。」
彼は、かなり「変額保険」に詳しく、いろいろと教えてくれながら、オーナーの年齢を聞いた。
「確か、大正の最後の年だと思ったから、68歳じゃないかな。」
「まだ若いから、解約した方がいいよ。」
しばらく考えてから、彼はいった。
翌日、かなり重要な結論をもらわなくてはならず「オーナー本人」と「家族」、そして、この保険勧誘当時を知る「妹さん」に集まってもらい、
大まかな調査した結果を告げた。そして、
「残念ながらこの保険を続けると、借金は累積するばかりです。」
すでに、借入金は2億4000万円であることは事実であり、生命保険の「保険料」の
ために借りたお金である以上、清算する方法はといえば「保険金」を受け取る時、すなわち「死んだ時」しかないのである。
「だって、それは...。」
3人とも絶句していたが、一番先に声を出したのは「妹さん」だった。
「天下の明治生命と三菱銀行がやっているのだから、何の心配もいらないって、土地を担保に入れれば相続対策になる、あとは何の心配も要らないって、
はっきり言ってたわよ。」少し、興奮気味であった。
「で、さらに申し上げにくいのですが、いま解約すると1億円前後しか戻らない、つまり1億4000万円程度の損が出ることになります。」
私は、ここで曖昧な態度で逃げてしまうのではなく、事実をはっきり伝えた上でこの処理を「具体的」にどのようにして「解決」して行くのかを議論したほうが有意義であると判断した。
「私の意見としては、解約した方が得策だと思います。」
毎月、利息だけで「約100万円」を支払い続けるとなれば、死亡保険金の2億8000万円に借金が膨らむまでに4000万円、つまり「3年4ヵ月」しかない。
また「日本経済の落ち込み」は当時も「異常」であったから、日本の保険会社の運用方法では、さらに悪化する可能性は高かった。
「とりあえず休み明けに、早急に解約返戻金の額を確認しておいて下さい。」
皮肉にも土曜日であったから、その場では確認はできず「オーナー」の奥さんが月曜日に確認することになり、その日の打合わせを終えた。
そして、月曜日の夕方。気を落とした口調で「オーナー」から連絡が入った。
「倉橋さんの言うとおり、いま解約すると約9700万円しか戻らないそうです....。」
がっくりとした表情でいった。
「一体、これからどうすればいいんでしょうか?」
直接、私がしたことではないが、この「明治生命」と「三菱銀行」のやった行為について「許せない!」という思いが込み上げてきた。
また「バブル経済」のもと、こんな「詐欺行為」を黙認している「大蔵省」にも、腹が立った。
「私がついています。とにかく争いましょう。」
ただ漠然とそう答えたものの、電話を切ったあと、頭の中でいろいろな手を考えているうちに、
事務所の時計は既に、午前12時をまわっていた。........。 つづく!
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