あの「バブル経済」は大手銀行と生命保険会社を詐欺集団と化した!Part1
「倉橋さんのプランで建てたアパートの家賃がぜんぜん貯まっていないけど、一体どうなっているの?」
その事件は「平成5年6月頃」、相続対策の一端として「アパート建築」の「コンサルティング」を行なった「オーナー」から、私への電話がきっかけで発覚した。
「プラン」としては広めの「2DK」を「12世帯」、駐車台数は「12台」、賃料収入は「約117万円」、「相続対策」も含めた「プラン」であるから、「造成費用」と「建築費用」、及び「諸経費」を含めた総額「一億一千万円」は「長期借り入れ」を行ない、「毎月の返済」は当時の利率にしても「約58万円」であり、当面の収支としては毎月「約59万円」が「貯金通帳」に「ストック」される筈であった。
「そんな筈は無いですよ。」2月末に竣工して、すでに「満室」状態であったから「敷金」「礼金」、そして「賃料」等も振りこまれていることを私自身が確認していたから、私は自信を持って答えた。「六月分の賃料も振りこまれていますから、間違いなく700万円程度は通帳に残っているはずですよ。」
「そうかしら?」それでも怪訝そうに「でもお金が残っていないんだけど。」「おかしいですね。」そういいながら私は、頭の中では通帳にお金が残っていないことを仮定して、あらゆる可能性を考えたが、結局、結論は出なかった。
「これからお伺いしますから、通帳を用意しておいて下さい。」「それがね、某M銀行がもっていったきり通帳が返ってきてないのよ。」ではなぜお金が貯まっていないことがわかったのか、を私に聞き返される前に「オーナー」は言った。
「じつは税金を払おうと思って某M銀行に残高を確認したら、元々の残高が500万円くらいあったのに、あれからぜんぜんお金が増えてないって言うのよ。」明かに不安な表情であった。
これはひょっとすると「某M銀行の」不正かな、と思ったほど「不思議」な話であった。
もともと平成4年の半ば頃、この「オーナー」から「某ハウスメーカー」で「アパート」を建築しようと思うが「収支計画」を見て欲しい、と言う依頼があり、その「収支計画」等を「コンサルティング」する事から始まった.。当初、その「ハウスメーカー」からの「プラン」の内容はひどいものであり、「賃料収入」は「近隣賃料相場」からかけ離れていたし、おまけに「過剰設備」のために「建築費」も高く、「収支計画」としては 、われわれ「専門家」から見て、とんでもなく「乱暴」なものであり、かつ「非現実的」なものであった。
そこで私なりに「プラン」の引き直しをして、再度、その「ハウスメーカー」を含めた「3社」で「入札方式」の見積もりを取り、結局、他の「メーカー」に発注した、という経過があった.。
その時も、私自身、不思議な体験をしているのである.。
「ハウスメーカー」との「請負契約」が成立し、当初、その「オーナー」の「取引銀行」である「三和銀行」に融資の申込をするつもりでいた。「三和銀行」は当社の取引銀行でもあり、私自身も、「有利」な条件を引き出せる自信があったから、早速、融資の取り組みの交渉を進めようとしたところ、「オーナー」からその建築予定地には「保険の関係」で「某M銀行」の担保に入っているから「某M銀行にも話をしてやって欲しい、と言う要望があった.。「保険の関係?」と言うのが引っかかったが、取りあえず翌日、「某M銀行」に融資の打合せをすることになった。「某M銀行」の.「某支店」は、今は「出張所」に格下げされてしまうほどの当時は「小さい支店」であった。
私は、取りあえず「電話」で「アポイント」を取った上で、いつものようにこちらから出向いて行って「打合せ」するつもりで、連絡を取った.。電話に出た「融資担当者」には「用件」を告げ、具体的に詳細を打ち合わせに伺いたい、といったところ、担当者から「支店長」に電話が取り次がれた。私自身、べつに「アパート建築資金」の打ち合わせに、わざわざ「支店長」に取り次がなくてもよいものを、と思って電話の保留を待っていると、「いちいちおまえに、そんな事を言われる筋合は無い!」とあろうことか、あるまいことか「某M銀行の支店長」が電話に出るなり「一方的に」怒鳴って電話は切られた、のである。
これには、「呆気」 に取られた。
こちらは「アパート建築資金」の融資に関しての打合せで「電話」をしたのであって、もちろん「身分」も「要件」も告げて「融資担当者」と話をしているのに、「某M銀行の支店長」ともあろうものが「電話」にでるなり、わけのわからないことを言って「電話を切る」など、どう考えても「不思議」だし「常識的」に考えて、あり得ない「不快」な話である。
別にこちらは「お願い」する立場でもないから、その当日、「三和銀行」にアパート建築資金の「融資の話」をして、即日「支店長」から「積極的な回答」をもらい(三和銀行)で話を進める ことにしたのである。
ところが、翌日、早朝から「某M銀行の支店長」は「オーナー」宅に訪れ、「平身低頭」で「融資については、ぜひ某M銀行でお願いします。」と頼みにきて、結局、某M銀行で融資を受けることになってしまったのである。
そのときの「やりとり」を思い出しながら、これは何かある、と確信した。
さて「某M銀行」から「通帳」を取り寄せてもらい「オーナー」宅に訪れたのは、最初の電話があってから「2〜3日後」である。
確かに「通帳」の「最後のページ」には「450万円程度」しか残高はなく、一目で最初のプラン通りにいっていないことはわかった。
「おかしいでしょう?」私の顔色を伺いながら「オーナー」は言った。
確かにおかしい。
私の「プラン」では「毎月の返済額」は「58万円」程度であるのに、通帳では毎月「75万円」と「25万円」の2本が落されている。
「たぶん、この75万円が返済だとおもいますが、この25万円は何ですか?」この時点では、私は、何かの事情があって「30年返済」が不能になって、返済金額が「75万円」に増えたのではないかと思い、他方の「25万円」の返済が何か、を「オーナー」に聞いた。
「さぁ?」明かに不安そうに「オーナー」は言った。「何かしらねぇ?」あいかわらず要領の得ない「オーナー」の返事を耳にしながら、通帳の前のページを、私はペラペラとめくっていった。
この通帳の新規は「平成1年10月19日」に「100円」の入金をもって作成されている。
その後「同月25日」に「1億8000万円」が借入金として、この通帳に入金され、同日「1億5739万円」が「明治生命保険相互会社」に振り込まれ、同様に「356万円」が「ダイアモンド信用保証(三菱の保険会社)」に支払われ、その他 「印紙代」や「登記費用」が口座から引き落とされている。
「この1億8000万円の借り入れは何ですか?」かなり大きな借金であるから、何か特別な事情でもあるのかと、「オーナー」をなるべく傷つけないように穏やかな口調でたずねた。
「さぁ、何かしらねぇ?」あいかわらずの口調で「オーナー」は答えた。「しかし、この借入金の返済が、当初90万円、平成3年からは133万円になっていますよ。」何の収入もないまま、ただ返済金だけが引き落とされている事が不審なばかりか、当の「オーナー」がこんなに「大きな借入金」を知らない訳がない。私は、再度、聞き返した。「その後、平成3年には、更に6000万円が借り入れされてますけど、これもわからないんですか?」「さぁ…あっ!」何かを思い出したように「オーナー」が私に向かって行った。「そう言えば、相族対策で保険に入ったことはあるけど。」思い出すように「でも、それは明治生命の保険の配当か何かで賄われている筈だから、どこかに入金はあるんじゃない?」
「あっ!」私は息を呑んで言った。「さっきの75万円と25万円の返済はこの借入金の返済だけで、アパートの建築費の返済はまだ始まってませんよ。」
「アパートローン」の返済が始まる前に「賃料」が「入金」されている銀行預金の「口座残高」が枯渇する状況を目の当たりにしながら、一体、何が起きているのか正確に把握できないまま、しばらく、沈黙は続いた。 つづく!
この事件は、当時、「相続対策」として有効な手段であるともてはやされた「変額保険」に関するものである。全国的に「訴訟」が起こされており、一度、大きく「マスコミ」等にも取り上げられてきたが、事件の性格上、非常に解り辛く「被害者」が「一審判決」で「敗訴」することが多い。しかし現実的には「都市銀行」と「大手生保」が手を組んで行なった、大掛かりな「詐欺事件」である。マスコミを通じた報道や大蔵省のコメントまた「1審敗訴」の判決文を見ても本事件の真相を伝えることは難しい。「本レポート」では「事実」をなるべく忠実に伝えて行きたい。
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