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どんどん「債務超過」に陥る日本経済。今後の行方は?


 「国」も「個人」も「法人」も「債務超過」に陥っている「日本経済」の行方は、今後、 どのような「方向」に向かって行くのか。

  最近、「沈滞ムード」の漂う「不動産取引」ではあるが、当然に「司法書士」(登記手続き関係等を代理申請する人)の 仕事も激減しているだろう、などと按じていたところ、何と「けっこう忙しい」という話である。 驚いたことに「サラ金関係」の「抵当権設定」がここのところ激増している、というのである。

  元来、「サラ金」などというものは「無担保の小額融資」が基本であって、銀行のように「抵当権」を設定して 「大口貸付」などすることは少なく、また「金利」だって「10%程度」なら、まだ「かわいい」もので、 「30%以上」のものだってザラである。
当然、いままでは、こんな「高利」で「大口融資」をうけるひとはいなかったのに、最近は増えつつある、というのである。

  さらに恐ろしい話であるが、その「借り入れ」をする当事者(債務者)が、必ず口にする言葉は「家族にばれませんよね?」であり、 「サラ金」の社員は債務者の帰ったあとに必ず口にすることは「どうせあのひとは返せないよ。」だそうである。

  現状の「金融機関(銀行)」は、いわゆる「金融ビックバン」に備えて自行の体力をなんとか「BIS(国際決済銀行)」が 規定する「自己資本比率8%」に回復させることが当面の課題であって、本来の機能である「付加価値の創造」や「信用の創造」などの 業務からは乖離し「金融機関」自身が「資金ストック」に回ってしまっている。おまけに最近は「証券不祥事」や「大手企業の不祥事」が 相次いで暴露され、海外勢も「売り」に回っているから、日本の上場企業の「株価」はどんどん下がり「金融機関」の保有する株価も当然下っている。

  せっかく「不良債権の処理」が進みかけてきた「日本の金融機関」の自己資本比率は、結局、努力むなしく、さらに低下し「金融機関」は 「資金ストック」が今後も継続して必要となるから、まだまだ「貸渋り」傾向は続き、「景気」の回復傾向にない。

  「不動産事情」にしても、本来の取引の「26%前後」が「業者間取引」であるから「金融機関」がこの「不動産業者」に対する 「融資」を緩和しない限り、まだしばらくの間は「不動産価格」も「低価格」で推移し、残念ながら今後も「ゼネコン」や 「デベロッパー」に明るい兆しはない。 「不動産価格」が下がれば、「個人」も「法人」も、そして「日本経済」も大きなダメージを受ける。

  何度も「本レポート」で繰り返しているように、今回の「日本の景気低迷」は、かつて日本人が味わったことのない性質のものである。 過去の「政策」では「景気浮揚策」として「公共投資」だとか「金利引下げ」だとか、あるいは「日銀の株式介入」などと やってこれたが、今の「日本政府」に「金」はなく、また「金利」なんて下げる余地もない。

おまけに「緊縮財政路線」で、かつ「規制緩和」だけで、この「景気低迷」を乗り越えようなどと考えている「日本の政府」に、 もはや「つける薬」はない。
    従来の「古い航海技術」では本当に「日本丸」は沈没するか、あるいは海外勢に、日本の「企業」も「不動産」も買いまくられて、 最後には「日本」なのか、どこの国なのかわからない状態になってしまうことだって考えられる。

  最近、「不良債権処理」を専門で行っている「コンサルタント仲間」がいっていた話であるが、「質屋」は「物」を預かって 「お金」を貸し、お金が返ってこなければ「質流れ」として預かったものを処分して弁済に充てる。
その金額が安かろうが高かろうが「文句のいいっこなし」、である。したがって、当然、「金融機関」も「担保」をとって貸した 「お金」が焦げ付いたのであれば担保物件を処分して弁済に充て、あとは「文句のいいっこなし」、にすれば良いのである、 というのである。

  確かに乱暴な話のようであるが、この話は「的」は獲ている。

  例えば、1993年に「共同債権買取機構」が設立された時に、この「質屋」の論理でさっさと処理してしまっていたら、どうだろう。 たぶん、一時的に「金融機関」はたいへんだったかもしれないが「不良債権」はこれ程までに膨らむことはなかった。 また処理後の回収額もいまほどへこむこともなかったろうし、「国民の税金」なんて投入しなくたってよかったはずである。

  結果的に、去年の今頃の「本レポート」に予測したとおりの「日本の景気」そして「ニューヨーク株価の暴落」は予想より 遅れはしたが、現実のものとなってしまった。

  アメリカの「景気」は底堅く、「ニューヨーク株式市場」が暴落する理由は何もない、などと「大統領」みずから 「楽観的」で、かつ「強気」なことを言っているが、その論理は全く逆であって、「アメリカの景気」は「実体経済」以上の 「バブル株式」に支えられた「偽りの景気」である、といえる。

  今回の「大暴落」をきっかけに、世界的な規模でこの「ニューヨーク株式」や「USドル」を支える努力はするだろうが 「物事」には「限界」というものがある。
  「日本の貿易黒字」は慢性的に増え続け、本来の「企業体質」は「アメリカ」などのそれと比較して、まだまだ「健全」であるから 「円高」にも耐え切れる。

「金利」を若干上げて「外債」を少しづつ処分しながら「円高誘導」に転じ、国内に「ハイパーマネー」を供給しながら 「特別減税」か何かで仕掛けてやれば、多少インフレはあるだろうが「消費」は促進され「国内景気」は回復するし 「株価」だって一転して上昇するから「企業」や「金融機関」の経営体質も改善される。この位、思い切った政策を 打ち出さなければ、今後の「日本」に明日はない。

    「サラ金」で「高利な融資」を受けてその場をしのぐ「個人」も、自国の 「不景気」には目もくれずに「アメリカ国債」や「外債」を買いつづける 「日本政府」も、「問題の先送り」にとらわれ、何も解決しようとしない 姿勢に、何らかわりはない。

  現状の「日本の政府」は、「盲腸」に苦しむ「患者」に「切開手術」をせずして「漢方薬」を投じているようなものである。 そろそろ、本気で「切開手術」に取り組まなければ、本当に「命取り」になってしまうのではないだろうか。

  さて、国際的な「株価」の暴落を受けて、今後、国際的な「為替」の変動が予測できる。

  かつて「物の価格」を決定する要因は、教科書的に言えば「需要」と「供給」の「バランス」であったが、現状では、 「為替格差」や「流通コスト」などが大きく「価格決定」に影響を与える。従って「一般消費財」などの「量産品」、 あるいは「流通コスト」が比較的安上がりな「家電製品」などはまだまだ価格を下げる余地が生まれから、 さほど「所得」は上がらなくとも、今のだらだらとした「生活感」に変化はない。

ただし先に延べた「ゼネコン」等の「建設業」、「金融機関」、「公務員」などに大幅な「雇用調整」を超える「雇用整理」には いることは間違いなく、「失業率」は大幅に上昇し、「消費」に対する「意識」はいまより厳しいものとなるから 「マクロ的」には、しばらくの間は「景気」は回復しない。
  「世界経済」はこれから「バブル崩壊」の処理にあたるところであるが「日本」はもう5年以上も「底」を這ってきた。 つまり「低成長」には歴史があり仮に「日経平均株価」が「16000円」を割ったところで、そう何の動揺もない。

また「アメリカ」という国は、宗教感の違いか「独特な国民性」をもっており、「過去の失敗」は謝ればそれで 「水に流してしまう」から、だめな「企業」も「金融機関」も「潰して」処理してしまい、案外、いつも立直りは早い。

  本当に深刻なのは「後進国」であり、これらに貸した「円借款」だけは痛いが「アメリカ」や「ユーロ」だって相当な金額を 貸付けており、「先進国」で何らかの「ルール」を決めて「決着」をつけざるを得ない状態に陥る。
もっと「楽観的」な論理で言えば、いままでは「一部の国」だけが「不景気」であったから誰も「面倒」みてくれなかったが、 これからは「みんな仲良く」「景気対策」をしなければならず「デノミ」や「為替調整」等、国際間の調整で処理することも 可能な状態となりえる。

  だいたい「財政赤字」で「国」が潰れたためしはない。

  従って、何度も「本レポート」で書いているが、この「国際的な変革期」は「大チャンス」と見ることができる。
....では、いま、何をするべきか。

もう「本レポート」の読者には「答え」が見えている、筈である。


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